第2回では、課税事業者・免税事業者の違いを確認しました。第3回では、令和5年10月から始まったインボイス制度について、売手・買手それぞれが押さえておきたい基本を整理します。インボイスは、消費税の「仕入税額控除」に大きく関わる書類です。
インボイス制度(適格請求書等保存方式)は、複数税率のもとで正確な消費税額を確認するための制度です。インボイスとは、売手が買手に対して、適用税率や消費税額等を正確に伝えるための請求書・領収書等をいいます。請求書という名称でなくても、必要な事項が記載されていればインボイスとして扱われます。
▌インボイスには何を記載する?
通常のインボイス(適格請求書)には、登録番号や取引年月日、税率ごとの対価・消費税額など、一定の事項を記載します。特に、従来の請求書との違いとして「登録番号」「適用税率」「税率ごとの消費税額等」を確認しておきましょう。
| 記載事項 | 主な内容 |
| ① 交付先 | 買手の氏名または名称 |
| ② 売手 | 氏名または名称+登録番号 |
| ③ 取引年月日 | 商品・サービスを提供した日など |
| ④ 取引内容 | 軽減税率対象である場合はその旨 |
| ⑤ 税率ごとの対価 | 10%・8%ごとの税込または税抜金額+適用税率 |
| ⑥ 税率ごとの消費税額等 | 10%・8%ごとに区分した消費税額等 |
※小売業、飲食店業、タクシー業など、不特定多数の方を相手にする一定の事業では、記載事項を一部省略した「簡易インボイス」を交付できます。
▌売手は「インボイス発行事業者」の登録が必要
インボイスを交付できるのは、税務署長の登録を受けた「適格請求書発行事業者」に限られます。登録番号は「T+13桁の数字」で、法人番号を持つ法人は原則として「T+法人番号」です。登録を受けた事業者は、取引先である課税事業者から求められたときは、原則としてインボイスを交付し、その写しを保存する必要があります。また、免税事業者が登録を受けると、課税売上高が1,000万円以下であっても消費税の申告が必要になります。
▌買手は「帳簿+インボイス」の保存が原則
買手が仕入れや経費に含まれる消費税を差し引く「仕入税額控除」を受けるためには、原則として、一定の事項を記載した帳簿とインボイス等の保存が必要です。請求書や領収書を受け取ったら、登録番号、取引内容、適用税率、消費税額等を確認しましょう。登録番号は、国税庁の「適格請求書発行事業者公表サイト」で登録状況を確認できます。
▌免税事業者などからの仕入れには経過措置があります
インボイス発行事業者以外の者からの課税仕入れは、原則として仕入税額控除の対象になりません。ただし、制度開始後の負担に配慮し、一定の要件を満たす場合には仕入税額相当額の一部を控除できる経過措置があります。令和8年度税制改正により、控除できる割合と期間は次のようになっています。
| 仕入れを行う期間 | 控除できる割合 |
| 令和5年10月1日~令和8年9月30日 | 80% |
| 令和8年10月1日~令和10年9月30日 | 70% |
| 令和10年10月1日~令和12年9月30日 | 50% |
| 令和12年10月1日~令和13年9月30日 | 30% |
| 令和13年10月1日以後 | 原則 0% |
※経過措置の適用には、所定の事項を記載した請求書等と帳簿の保存など、一定の要件があります。
▌インボイスを受け取ったら「番号だけ」で判断しない
登録番号が記載されていても、それだけで確認が終わるわけではありません。売手の名称、取引年月日、取引内容、税率ごとの金額や消費税額等が正しく記載されているかを確認することが大切です。一方、小売店や飲食店などの「簡易インボイス」では、宛名がなくても認められる場合があります。書類の種類や取引内容に応じて確認しましょう。
▌登録後の消費税負担も確認しましょう
免税事業者がインボイス発行事業者になると、消費税の申告・納付が必要になります。登録するかどうかは、取引先からインボイスを求められるか、売上先が事業者中心か一般消費者中心か、登録後の税負担がどの程度になるかなどを踏まえて検討します。
次回は、登録後の負担軽減に関わる「2割特例・3割特例・簡易課税」の違いを整理します。
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