第1回では、消費税の全体像を確認しました。第2回では、消費税の申告・納付が必要となる「課税事業者」と、納税義務が免除される「免税事業者」の違いと判定方法を整理します。売上高1,000万円が一つの基準ですが、それだけで決まるわけではありません。
課税事業者とは、原則として消費税の申告・納付を行う事業者です。一方、免税事業者は、一定の要件を満たすことでその課税期間の消費税の納税義務が免除される事業者です。免税事業者は消費税の申告・納付が原則不要ですが、仕入れや設備投資に含まれる消費税の還付を受けることはできません。
▌まずは「基準期間」の課税売上高を確認
課税事業者か免税事業者かは、まず「基準期間」の課税売上高で判定します。基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合は課税事業者、1,000万円以下であれば原則として免税事業者です。売上が1,000万円を超えたその年から直ちに課税事業者になる、という判定ではない点に注意しましょう。
| 区分 | 基準期間 | 基本的な判定 |
| 個人事業者 | その年の前々年 | 課税売上高が1,000万円超 → 課税事業者 |
| 法人 | 原則として前々事業年度 | 課税売上高が1,000万円超 → 課税事業者 |
※1,000万円「以下」であれば原則免税です。ただし、次のような例外があります。
▌1,000万円以下でも課税事業者になる主なケース
基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも、特定期間の売上高、インボイス登録、届出の提出、新設法人の要件などによって課税事業者となることがあります。以下の項目も併せて確認しましょう。
| 確認項目 | 内容 | ポイント |
| 特定期間 | 個人:前年1月1日~6月30日 法人:原則、前事業年度開始の日から6か月間 | 特定期間の課税売上高が1,000万円を超えると、基準期間の課税売上が1,000万円以下でも課税事業者になる。 また、課税売上高に代えて給与等支払額で判定することもできる。 |
| 課税事業者の選択 | 「消費税課税事業者選択届出書」を提出 | 課税売上高が1,000万円以下でも、自ら課税事業者になることができる。 |
| インボイス登録 | 適格請求書発行事業者として登録 | 登録を受けている間は、基準期間の課税売上高にかかわらず免税事業者にはならない。 |
| 新設法人など | 設立1期目・2期目など基準期間がない場合 | 原則免税だが、期首の資本金が1,000万円以上の法人や一定の特定新規設立法人などは課税事業者となる。 |
▌開業・設立したばかりの場合は「免税事業者」。ただし、例外あり
新たに開業した個人事業者や、新たに設立された法人は、基準期間に課税売上高がない、または基準期間がないため、原則として免税事業者となります。ただし、設立2期目に特定期間の判定が必要になる場合や、新設法人・特定新規設立法人の特例、インボイス登録などにより、早い段階から課税事業者となるケースがあります。特に法人を設立するときは、資本金の額も確認しておきましょう。
▌あえて課税事業者を選ぶこともあります
免税事業者でも、「消費税課税事業者選択届出書」を提出して課税事業者になることができます。
例えば、免税事業者は、仕入れや設備投資に含まれる消費税の還付を受けることはできません。大きな設備投資を予定している場合や輸出取引が多い場合など、仕入や経費にかかる消費税の額が大きくなるときは、課税事業者を選択することで消費税の還付を受けられることがあります。
ただし、いったん課税事業者を選択すると、原則として2年間は免税事業者に戻ることができません。また、一定の資産を取得した場合には、さらに免税事業者に戻ることが制限される場合があります。そのため、課税事業者を選択する際は、今後の売上や設備投資の予定なども含めて、事前に確認しておくことが大切です。
▌インボイス登録をすると免税事業者ではなくなります
適格請求書発行事業者(インボイス発行事業者)の登録を受けると、基準期間の課税売上高が1,000万円以下でも消費税の納税義務は免除されません。免税事業者がインボイス登録を検討するときは、取引先との関係だけでなく、登録後の消費税負担や申告事務も含めて判断する必要があります。インボイス制度については、第3回で詳しく解説します。
▌毎期、判定を確認しましょう
課税事業者・免税事業者の判定は、「売上高が1,000万円を超えたか」だけでは終わりません。基準期間と特定期間、設立時の資本金、インボイス登録や過去の届出などを合わせて確認する必要があります。当事務所では、消費税の納税義務の判定から必要な届出、申告まで一貫してサポートしています。

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